1日目〜1週間:まだ「日常」の範囲
返済日を過ぎた瞬間に起きるのは、たった2つです。
- 遅延損害金の発生:年率20%前後の日割り。仮に10万円の返済が7日遅れても、数百円程度です。
- 事務連絡の開始:SMS・自動音声・担当者からの電話。目的は「入金予定日の確認」であって、責めることではありません。
この段階の正解はシンプルで、電話に出て(またはかけ直して)「◯日に払います」と伝え、その日に入金する。それだけで何事もなく日常に戻ります。電話が怖い方は督促電話の台本全文を開いたまま話してください。
心の面で言うと、この時期にいちばん危険なのは「気まずさから連絡を無視し始める」ことです。ここで通話1本できるかどうかが、後のすべてを分けます。
2週間〜1か月:督促状とカード停止
入金がないまま2週間を過ぎると、郵便での督促が始まります。
- 督促状(ハガキ・封書):未払い額と支払期限が書かれた通知。読み方はこちら
- カードの利用停止:滞納中のカードは新規利用が止まります(公共料金の引き落としに使っていると連鎖するので注意)
- 電話の頻度が上がる:ただし貸金業法により午後9時〜午前8時の電話は禁止されています
この段階でも、「一部だけ入金+残りの支払日を約束」で通常ルートに戻れることがほとんどです。全額用意できないから連絡しない、が最悪手。1万円でも入金の意思を見せることに意味があります。
2か月前後:信用情報に「延滞」が載る
いわゆる「ブラックリスト」の実体は、信用情報機関(CIC・JICC・KSC)の事故情報です。登録の目安は61日以上または3か月以上の滞納。登録されると、おおむね5年間は新規のカード・ローン・分割払いの審査に通りにくくなります。
同じ頃、督促状より強い文面の催告書が届き始めます。「法的手続きに移行する場合があります」という文言に心臓が縮むと思いますが、これはまだ予告の段階。むしろ「動けば間に合う最後の広い出口」です。
2〜3か月:期限の利益の喪失=最大の分岐点
ここがこの記事でいちばん大事な話です。
「毎月◯円ずつ分割で払う」という権利を、法律用語で期限の利益といいます。滞納が続くと(多くの契約で2〜3か月)、この権利を失います。これが期限の利益の喪失です。
- 失うと:残額の全部+遅延損害金を一括で請求されます
- 多くの場合、喪失前に「期限の利益喪失予告通知」が届きます——この封筒が最後の分岐点
- 喪失後は交渉相手が回収部門・債権回収会社(サービサー)に移り、話が事務的かつ硬くなります
正直に言います。一括請求された金額を一括で払える人は、そもそも滞納していません。つまりこの段階からは「自力でなんとかする」の外側で、任意整理で再び分割に戻すか、個人再生・自己破産で法的に整理するかの検討領域です。
その後:債権回収会社・裁判所・差し押さえ
一括請求も放置すると、段階はさらに進みます。
- 債権回収会社(サービサー)への譲渡・委託:見知らぬ会社名からの通知が届きますが、法務大臣の許可を受けた正規の会社です(ここで慌ててヤミ金に走るのが最悪の分岐)
- 裁判所からの支払督促・訴状:特別送達という特殊な郵便で届きます。2週間以内に異議申立てをしないと、そのまま確定します
- 強制執行(差し押さえ):給与の一部(手取りの原則4分の1)や預金が差し押さえられます。給料差し押さえの記事・差し押さえ前にできること
ここまで来ても、打つ手がゼロになるわけではありません。ただし裁判所からの書類だけは、1日も放置してはいけません。
今の段階別・まだできること
| あなたの現在地 | まだできること |
|---|---|
| 数日の遅れ | 電話1本+入金で完全復帰。台本を使って連絡を |
| 1か月前後 | 一部入金+支払計画の相談。生活費が尽きているなら公的貸付の検討 |
| 催告書・喪失予告が来た | 自力返済と債務整理の分岐点。借金チェックか弁護士無料相談で現在地の診断を |
| 一括請求・裁判所の書類 | 専門家一択。書類の期限(2週間)内に必ず相談 |
正直な線引きをしておきます。数日〜数週間の遅れで、今月中に入金の目処があるなら、専門家はまだ必要ありません。この記事と台本で対応できます。一方、「来月も同じことが起きる」と心のどこかで分かっているなら、それは滞納の問題ではなく返済計画の問題です。眠れない夜は今夜これだけへ。
滞納の段階が進む前に、選択肢が多いうちに。相談だけなら無料・匿名です。
よくある質問
- 割賦販売法・貸金業法(e-Gov法令検索) → https://laws.e-gov.go.jp/
- CIC「信用情報の内容と登録期間」 → https://www.cic.co.jp/mydata/report/index.html
- 日本信用情報機構(JICC)「登録内容と登録期間」 → https://www.jicc.co.jp/whats/chart
- 裁判所「支払督促」 → https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_04_02_13/index.html
- 法テラス(日本司法支援センター) → https://www.houterasu.or.jp/