2026年10月に、何がどれだけ上がるのか
10月は、この1年でもっとも値上げが集中する月です。食品だけでおよそ2,720品目の価格改定が予定されています。
上がるものを大きく分けると、次の4つです。
- 調味料:しょうゆ、みそ、つゆ、たれ、調味酢、食用油
- 飲料:ペットボトル、缶、ボトル缶
- 酒類:発泡酒、新ジャンル、缶チューハイ
- 加工食品・冷凍食品ほか
しょうゆやみそ、食用油といった毎日使うものが並んでいるので、体感はかなり大きくなります。同じ月に最低賃金の改定や各種手数料の見直しも重なります。
「9月末までに買い置きを」が、誰にでもできる助言ではない理由
値上げの記事を読むと、たいてい同じ結論で終わります。「9月末のセールで、値上げ前にまとめ買いしておきましょう」。
正しい助言です。日持ちする調味料や冷凍食品を旧価格のうちに買っておけば、実質的に値上げを数か月先送りできます。
ただ、この助言には前提があります。今月、余分に使える現金があることです。
まとめ買いは節約ではなく前払いです。来月の食費を今月に移しているだけで、今月の財布からは確実にお金が出ていきます。給料日前に残高が数千円という状態の人にとって、これは実行できない助言です。
この記事は、まとめ買いをする余裕がない前提で、10月以降の食費をどう下げるかを書きます。元手のかからない順に並べます。
まず、値上げを「幅」ではなく「効き方」で見る
値上げのニュースを見ると、つい値上げ幅の大きいものに目が行きます。でも家計に効くのは、値上げ幅ではなく「買う回数 × 値上げ額」です。
意外に思われるかもしれませんが、調味料の値上げは、実は家計への影響が小さい部類です。しょうゆが1本30円上がっても、1本を1〜2か月かけて使うなら、1食あたりでは数十銭の差にしかなりません。
逆に効くのは飲料と酒類です。値上げ幅は1本あたり10〜20円でも、毎日買えば月に300〜600円。もともとの購入額が大きいので、ここを変えると実額が大きく動きます。
つまり、「しょうゆが上がった」と気にするより、「ペットボトルを毎日買う習慣」を変えるほうが、支出はずっと下がります。
元手ゼロでできる順に、5つ
ここからが実際の手順です。上から順にやってください。上にあるものほど、お金がかからず効果が大きい順に並べています。
1|買い物に行く回数を減らす(月2,000〜5,000円)
これが一番地味で、一番効きます。
買い物に行く回数が多いほど、予定になかったものを買う回数も増えます。1回の買い物で「ついで」に入るのが300円だとして、週5回行けば月に6,000円。週2回なら2,400円です。差は3,600円。
やることは「行く日を決める」だけです。週2回、たとえば水曜と日曜。それ以外の日は店に入らない。冷蔵庫が空でも、次の買い物日まではあるもので回す。
これは我慢の節約に見えて、実は逆です。毎日「今日は買うか買わないか」を判断しなくてよくなるぶん、意志力を使いません。
2|飲み物を持ち歩く(月3,000〜6,000円)
値上げ対策として、ここが最大です。
1日150円のペットボトルを1本買う習慣は、月4,500円、年54,000円です。家族2人なら倍。10月の値上げでこれがさらに上がります。
水筒に麦茶を入れて持つだけで、この項目はほぼゼロになります。麦茶のパックは1袋50パック前後で数百円、1杯あたり数円です。
「ケチくさい」と感じる方もいると思います。ただこの1項目だけで、10月の値上げ分は完全に相殺できます。他を何も変えなくてよくなる、と考えると見え方が変わるかもしれません。
3|たんぱく質を、単価の安い順に置き換える(月2,000〜4,000円)
食費を下げようとすると、多くの人がまず肉と魚を減らします。これは危険です。たんぱく質が足りないと体調を崩し、医療費と働けない日数で必ず損をします。
減らすのではなく、安い順に置き換えてください。
| 食材 | たんぱく質10gあたりの目安 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 卵 | 最も安い部類 | 1日1〜2個。ゆで卵にしておくと間食にもなる |
| 豆腐・納豆 | 安い | 1丁で主菜が1品成立する |
| 鶏むね肉 | 安い | まとめて茹でて冷蔵。サラダや丼に |
| ひき肉 | 中くらい | かさ増しが効く。豆腐と混ぜると単価が下がる |
| 豚こま | 中くらい | 野菜と炒めて1品 |
卵・豆腐・鶏むねの3つを軸にすると、たんぱく質の量を落とさずに単価だけ下げられます。具体的な調理の回し方は自炊の節約術にまとめています。
4|主食を米に寄せる(月1,000〜3,000円)
パンや麺に比べて、米は1食あたりの単価が下がります。5kgの米は約33合、およそ66杯分。5kgが3,000円なら1杯45円ほどです。菓子パン1個より安く、満腹感は長く続きます。
ただしこれは4番目に置いています。米を買うには先にまとまった現金が要るからです。今月それが出せないなら、無理をせず1〜3だけ先にやってください。
5|1週間分ではなく、3日分ずつ買う
まとめ買いは、使い切れる人にとってだけ節約です。
1週間分の野菜を買って、後半に傷ませて捨てた経験がある方は、3日分ずつ買うほうが結果的に安くなります。捨てた分は、買ったのに食べていない=単価が上がったのと同じです。
現金が少ないときも同じで、3日分なら少額の現金で回せます。「1週間分まとめて」は、現金にも冷蔵庫にも余裕がある人の方法です。
やってはいけない「節約」
苦しいときほど、逆効果の方法に手が伸びます。先に潰しておきます。
食事を抜く
もっとも損をします。体調を崩せば医療費がかかり、働けない日ができ、判断力も落ちます。1日あたり数百円を浮かせるために、数万円を失う交換になります。
たんぱく質と野菜を削る
同じ理由です。削るなら加工度の高いもの(総菜パン、スナック、清涼飲料)から。栄養あたりの単価がもっとも高いのはこの層です。
買い置きのために借りる
繰り返しますが、これが最悪です。数パーセントの値上げを避けるために年15%の手数料を払うことになります。
「安いから」で大容量を買う
単価は下がりますが、使い切れなければ意味がありません。とくに調味料は開封後の劣化が早いものがあります。1か月で使い切れる量かどうかで判断してください。
食費で足りなければ、固定費を見る
ここまで食費の話をしてきましたが、正直に言うと、食費で作れる余白には限界があります。毎日の工夫が必要で、しかも上限は月に1万円前後です。
一方で固定費は、一度手続きすれば、あとは何もしなくても毎月効き続けます。
- 通信費:格安SIMへの乗り換えで1回線あたり月3,000〜5,000円
- 電気・ガス:契約アンペアやプランの見直しで月1,000〜3,000円(下げる順番はこちら)
- 保険:重複している保障を外して月2,000〜10,000円(削っていい保障の見分け方)
- サブスク:明細をさかのぼって定額の行に印をつけるだけで月1,000〜3,000円
値上げに対抗する本命は、実はこちらです。食費で毎日がんばるより、通信費を1回見直すほうが金額は大きいというのが現実です。全体像は固定費の下げ方にまとめています。
なお2026年10月からは「106万円の壁」の撤廃で手取りが減る方もいます。値上げと重なる方は、固定費の見直しを先にやっておくと10月の衝撃がかなり和らぎます。
本当に食べるものがないときの窓口
ここまでは工夫の話でした。ただ、工夫ではどうにもならない時期というのは実際にあります。そのときに使える窓口があることだけは、知っておいてください。
- フードバンク・フードパントリー:食品を無償で受け取れます。自治体名と「フードバンク」で検索すると地域の窓口が出ます
- 子ども食堂:子どもだけでなく保護者も一緒に食事できるところが多くあります
- 社会福祉協議会の生活福祉資金:緊急小口資金など、一時的に必要な少額を無利子で借りられる制度があります(緊急小口資金の使い方)
- 自治体の生活困窮者自立支援窓口:家賃・光熱費・食費をまとめて相談できます
これらは使うことが恥ずかしい制度ではありません。税金と寄付で運営されていて、必要な人が使うために存在しています。使ったことが誰かに知られることもありません。
まとめ——10月までにやること
整理します。
- まとめ買いができるなら、9月中に日持ちするものだけ買う。ただし借りてまで買わない
- できないなら、元手ゼロの3つから始める。買い物の回数を減らす/飲み物を持ち歩く/たんぱく質を安い順に置き換える
- 並行して固定費を1つだけ見直す。通信費が最有力。効果は食費の工夫より大きい
- 食べるものがない状態になったら、窓口を使う。ためらう時間のほうが高くつきます
値上げは止められませんが、買い方は今日から変えられます。
全部やる必要はありません。水筒を1本用意することと、買い物に行く日を週2回に決めること。この2つだけで、多くの家庭では10月の値上げ分を上回ります。できるところから1つで十分です。
食費を切り詰めても返済が回らない状態なら、返済額そのものを見直せる場合があります。無料・匿名OKです。
よくある質問
- 農林水産省 → https://www.maff.go.jp/
- 全国社会福祉協議会(生活福祉資金貸付制度) → https://www.shakyo.or.jp/
- 厚生労働省(生活困窮者自立支援制度) → https://www.mhlw.go.jp/