連帯保証人と保証人の違い
「保証人になってほしい」と頼まれたとき、多くの人が「もし返せなかったときに少し手助けするだけ」と思っています。しかし日本で一般的な「連帯保証人」は、それよりはるかに重い責任を負います。
- 主債務者と同等の責任を負う
- 「先に本人に請求して」と言えない
- 「財産を調べてから」とも言えない
- 主債務者が行方不明でも全額請求される
- まず主債務者に請求するよう求められる
- 財産調査後に不足分だけ負担できる
- 複数いれば人数で割る(分別の利益)
- 実務上はほとんど使われない
連帯保証人の法的責任の範囲
連帯保証人が責任を負うのは、元本だけではありません。
- 元本(借入額)の全額
- 遅延損害金(滞納期間中に発生した損害金)
- 利息(貸付金利分)
- 強制執行にかかった費用(裁判費用等)
例えば主債務者が300万円借りて3年間滞納した場合、遅延損害金だけで50〜100万円以上になることがあります。連帯保証人にはその全額を支払う義務が生じます。
2020年の民法改正で変わったこと
2020年4月施行の改正民法により、個人が根保証(上限額なし・期間なしの保証)を負う場合は極度額(上限額)を書面で定めることが義務付けられました。上限額の記載がない根保証契約は無効になります。ただし、個別の借入に対する連帯保証はこれまでと変わりません。
よくある被害パターン
連帯保証のトラブルは、家族・友人・職場など身近な人間関係から生まれます。
- 親族からの依頼:親・兄弟姉妹・配偶者の事業資金・住宅ローンの保証人になったが、事業失敗や離婚で突然請求が来た
- 友人・知人の依頼:「絶対に迷惑はかけない」と言われて保証したが、音信不通になった
- 会社の保証:中小企業の経営者・役員として会社の借入に個人保証をしたが、会社が倒産した
- 賃貸の保証:家族の賃貸契約の保証人になったが、家賃滞納と原状回復費用を請求された
請求が来る前にできること
主債務者の状況を把握する
連帯保証人になっているなら、主債務者の返済状況を定期的に確認することが重要です。「知らなかった」では遅延損害金が膨らんでいることがあります。直接確認できない場合、貸主(金融機関・貸主)に「延滞状況を教えてほしい」と問い合わせることができます。
事前に代位弁済を検討する
主債務者が明らかに返済不能になった場合、連帯保証人が先に返済する(代位弁済)ことで遅延損害金の発生を止められます。代位弁済をした後は、連帯保証人が主債務者に対して求償権(返してもらう権利)を行使できます。
弁護士への早期相談
「主債務者の返済が怪しい」と感じた段階で弁護士に相談することで、損害を最小化できるケースがあります。主債務者への求償権の行使・担保設定の可否・債務整理の検討など、選択肢が広がります。
請求が来てしまったら
まず内容を確認し、すぐに弁護士へ
請求書や訴状が届いたら、内容が正確かどうかを確認することが最初のステップです。遅延損害金の計算誤り・時効の可能性・極度額の超過などがある場合、支払い額を減らせることがあります。
自己破産の選択肢
連帯保証人として請求された金額が自分の資産・収入を大幅に超える場合、自己破産が現実的な選択肢になります。連帯保証債務も自己破産の対象になります。ただし主債務者が破産した場合、残りの請求は連帯保証人に来ることに注意が必要です。
頼まれたときの断り方
連帯保証を頼まれたとき、断ることは法的に完全に正当です。断る理由を説明するための参考文を紹介します。
- 「自分自身もローンを抱えていて、信用情報に影響するため難しい」
- 「家族(配偶者・親)が反対しているので応じられない」
- 「連帯保証の責任の重さを理解した上で、自分には引き受けられない」
- 「代わりに、保証会社への変更を貸主に相談してみては」
まとめ
- 連帯保証人は主債務者と全く同じ責任を負う重い立場
- 元本だけでなく遅延損害金・利息も含めた全額が請求対象
- 主債務者の返済状況は自分から定期確認することが重要
- 請求が来たら内容確認と時効の調査を先に行う
- 頼まれても断ることは完全に正当で、断る理由の説明義務はない
あなたの状況に合った解決方法を、今すぐ確認できます。
- 法務省「保証制度の見直し(2020年民法改正)」→ https://www.moj.go.jp/
- e-Gov 法令検索「民法(保証に関する規定)」→ https://laws.e-gov.go.jp/
- 法テラス(連帯保証人問題の法律相談)→ https://www.houterasu.or.jp/